2024年10月、フードテックの国際カンファレンス「SKS JAPAN 2024」に初出展した。主催はUnlocXの田中氏。川本氏のご招待で参加が実現した。

SKS JAPANは、食とテクノロジーの交差点に立つカンファレンスだ。参加者は、海外の事業家、投資家、食品テック企業の経営者、金融機関や大手企業の関係者 ―― いずれも、食の未来に真剣に向き合っている人たちだった。その会場に、私たちはキッチンカーで乗り込んだ。

キッチンカーという選択

展示ブースで資料を並べるのではなく、キッチンカーで和牛を焼いて、食べてもらう。この方法を選んだのには理由があった。

畜産の価値は、最終的には「食べた瞬間」に集約される。どれだけ理念を語り、飼育方法を説明しても、一口食べた時の体験がすべてを決める。だから私たちは、約200名の参加者に、江田和牛をその場で提供することを選んだ。

投資家の目、事業家の問い

反応は、想像以上に具体的だった。「この品質で、どうやって海外展開するのか」「サプライチェーンのボトルネックはどこか」「ブランドの差別化ポイントは何か」―― 来場者からの問いは、味の感想にとどまらなかった。事業構造そのものへの鋭い質問が次々に飛んできた。

投資家や事業家は、日常的に事業の本質を見極めることを仕事にしている。その目線からのフィードバックは、私たちにとって非常に貴重だった。自社の強みと弱み、市場での位置づけ、伝え方の精度 ―― SKS JAPANでの一日は、事業モデルと価値訴求を根本から見直す機会になった。

200食の和牛が運んだのは、売上ではなく、事業を鍛えるフィードバックだった。

畜産会社がフードテックの舞台に立つ意味

「畜産会社がフードテックのイベントに出るのか」――そう驚かれることもあった。しかし、畜産とテクノロジーは無関係ではない。個体管理、トレーサビリティ、サプライチェーンの最適化、海外市場へのアクセス。どれもテクノロジーなしには成立しない領域だ。

私たちは牧場で牛を育てている。だが同時に、AIで個体データを管理し、商社を通さず自分たちで輸出し、デジタルでブランドを構築している。畜産は、もはや「一次産業」という枠だけでは語れない。SKS JAPANの会場で、それを証明できた手応えがあった。

出会いが、次の一歩をつくる

この日の出展を通じて、その後の事業展開につながる複数の接点が生まれた。食品業界の外側にいる人々 ―― 金融、テクノロジー、海外事業のプロフェッショナルたちとのつながりは、私たちの視野を広げてくれた。

キッチンカーから立ち上る煙の向こうに、200名の真剣な顔があった。あの日の経験が、江田畜産の事業を一段階引き上げたことは間違いない。


Eda Livestock Co., Ltd.
Miyazaki, Japan / 2024.10.27

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